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そういえば、「日の名残り」も観返したい。

02/18/2011 投稿者: 1000film


取り憑かれたように二日間ぶっ続けで読み続けた小説。
カズオ・イシグロの「わたしを離さないで」にまつわること。
これから読もうとしている方は、話の内容を含みますので、ご注意ください。

まず、読み終えた感想をなんといえばいいか…
ある人は「とても感動した」と言ったり、
またある人は「めちゃ良かった」と言ったり、
この小説がすばらしいものである事は私も同感なのですが、
女の子二人と男の子一人というシチュエーションや、
女の子同士の友情と愛情と歓迎されるべきではない嫉妬や憎しみの
表現が、すごく細かに描かれていて、読みながら辛い気持ちになりました。

もちろん、それと同時に、カズオ・イシグロが男性なのに
何故こんなに女の子同士の友情を、こんなに繊細に描き出せるんだろうと
尊敬と驚きの気持ちでいっぱいにもなります。

もちろん、巷でいう「秘密」の部分も、
話の序盤でそれらしい単語が出てくる度にぴんとくるので、
(しかも、今ちょうど勉強している英単語の本でその言葉が出てきていたので)
覚悟はしているんだけど、主人公達の、特にキャスの心理描写のおかげで
ひどく感情移入をしてしまうので、読み進めるにつれて恐ろしくなってしまった。

カズオ・イシグロがインタビューで、
この物語は特殊な環境に置かれた、特殊な人の話のように見えますが、
本物の愛とは、、と問いかけながら、いずれは人生を終える私たちにとって
誰にとっても普遍のテーマを持っている事に気付いてもらえたらと言っていた。
ただ、この小説のなかではその人生が短いだけであって、と。

10代の始め頃、多くの子供がそうであるように、
死ぬのが漠然とこわいと思っていた時期があったけど、
わりと若いうちに家族を何人か見送ってきたせいで、ここ最近はまったく
考えもしなかったのですよ。
突然の事故や病気で亡くなる事はともかく、人が死に向かって行くのは
実はすごく穏やかなスピードで、もちろんケンカもするし、仲直りもするし、
一見どうでもいいような事にも喜んだり、喜んだふりもしたりしますし。

なのに、私と同じ年頃のキャスの語りを聴いているうちに
離ればなれになることがこわいと感じた。

小説の話に戻って、

彼らが本物の愛を証明する為に計画するくだりは、
ものすごく純粋だけど子供じみても見えてしまう。
でも、もし私が同じ立場なら同じように出来る事はすると思う。
キャスが大人になったトミーの絵に対して感じた事と、それを隠した事は
誰かを看取った経験があるなら、心にずしーとくると思うなあ。
嫌なずしーではないのだけれど。

それと、以前ポスターを観た時に、海に面した不思議な建物に
向かって走る後ろ姿と、全体にブルーグレーと薄い光の色がかかった景色、
それから、映画のタイトルとしてはかなり細いフォントと
MEとGOの文字が切れ切れになっている所から、
この映画のもの悲しさは漂っていたのだけど、
実際に予告編や音楽も合わせて知ると、染み入ってきます、心に。

本国の公式サイト
http://www.foxsearchlight.com/neverletmego/

日本版の公式サイト
http://movies.foxjapan.com/watahana/

こちらは、日本語版の予告編

そして、小説のなかで登場する大事な曲
Never Let Me Go / Judy Bridgewater は、架空の曲だったんですね。
これを聴いて、ひどく感激してしまった。

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カテゴリー: diary, movie, music |

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